神奈川県に住むヒトミです。
彼とは、大学を卒業して入った、会社の新人研修で出会いました。
100名もの社員が1つの部屋に集められ、人事や先輩社員の体験談などの講義を聴いていました。
講義の後、質問タイムになりました。緊張して手を挙げる人はいません。
しばらく沈黙が続いたところで、ある社員が手を挙げたのでした。
指されて立ち上がったのが彼でした。
講義に飽き飽きしていた私は、品定めをしていました。
目は二重でぱっちりしていて彫りが深い。鼻も高い。顔はタイプかも。
同期の中ではカッコイイ方かなー。……だけど身長が低いのが惜しいなー。
質問の内容は今となっては覚えていませんが、ちょっと低めの声でゆっくり優しく話していたので、丁寧な人という印象を受けました。
私は、体重にコンプレックスを持っていました。標準体重ど真ん中でしたが、やっぱり雑誌に出てくるモデルみたいにきれいに服を着こなしたい。
好きな男性のタイプは最低限、身長が自分より高くて、自分より重い人です。
後日、同期皆の飲み会があって、彼が酔っているときに聞いてみたら、身長は私と同じくらい。それから、体重は私より10kgも軽いみたいでショックでした。
「身長と体重以外は合格だけど、これ以上身長伸びないだろうし、持って生まれたものは変えられないじゃん。」と思っていました。
これが彼に対する第一印象でした。
男性が多い会社だったので、女性はひとつのグループになって、噂話で持ち切りです。
私は大卒で入社したので22歳で周りもほとんど同い年です。
噂によると、その彼は大学院の修士課程卒で入ったので25歳でした。
研修での様子を見ていると、同期の中では成績も良いようで、学級委員のような立場になって皆をまとめたりしていました。
同期との飲み会の中で話す機会もあって、気になる存在になっていきました。
「落ち着いていて、会話のテンポが合う気がする。同期の中でも成績も良いみたい。結婚相手には、こんな人がいいんだろうな。」
でも、最後には必ずこれが付きました。
「身長は低いし体重も私より軽いからナシなんだけどね。」
会社は全国に支店があるので、研修の終わりに配属部署の発表があります。
第3希望まであらかじめ書いて提出していました。
それでも、実家のあるあっちの県か、それとも全く違う場所か。
一緒の部署になる同期はいるかな。ひとりは寂しい。女の子がいるといいな。
結果、私は実家から通える範囲の支店、彼は関東で一人暮らしになりました。
私と彼は配属先が別々になりました。
研修が終わって数日後、研修での宿泊先を離れます。
その日、彼からメールで告白されました。
直接言って欲しかったという思いもあったたし、まだあまりお互いのことを知れていない。顔と性格は好きだけど、体格的にはタイプではない。正直迷いました。
もし同じ状況の女の子が100人いたら、7割の子は断るでしょう。
たくさん考えた結果、ここで断ったら二度と会えない、後悔はしたくないとの思いから、付き合うことにしました。
私は2月5日生まれです。
彼は私の誕生日を覚えていてくれて、「プレゼント何にする?」って聞いてくれました。
「一緒に食事して、ケーキでも食べられればそれで十分だよ」と言ったら、
「それじゃいつもと変わらないからダメ。何かモノがいい」
私は当時、就活用のA4バッグをずっと使っていたので、カバンがいいと提案しました。
しかし彼はまだ納得できないようで「破れて捨てられるのは悲しいから、何か残るものがいい。ネックレスとか。」
もらう立場なので言えませんでしたが、じゃあ最初にネックレスあげるって言ってくれれば良いのに……と思ってしまいました。
こうして初めて一緒に過ごす誕生日は、ネックレスを頂きました。
その日、私が彼の誕生日を聞いたら「2月25日で近いのに、彼氏の誕生日を覚えてないなんておかしい!」と怒られました。
血液型も、1回聞いて忘れてしまったので2回目に聞いたら怒られました。
なんだか私よりよっぽど乙女で、女々しいですよね。
遠距離恋愛となると、メールと電話が主なコミュニケーションの手段になります。
会うのは月に1回程度。私は実家暮らしだったので、私が一人暮らしの彼の家に会いに行くのがほとんどでした。
社会人1年目なので恋愛にうつつを抜かしている場合ではありません。
私は仕事が終わるのが遅かったり、会社が推奨している資格の勉強もあったりして、それなりに忙しく過ごしていました。
メールが来ていても、内容的にすぐに返信しないといけないものではなかったら平気で会話を終わらせてしまいます。
ある日の仕事終わり、携帯電話を確認すると彼からの不在着信の件数が10件以上。
慌てて折り返すと、「mixiでは『最終ログインは1時間前』って出ているのに、俺のメールに返信しないのはおかしい!付き合ってるんだから、mixi見る余裕があるなら連絡して!」と怒られました。
文章を考えるのが面倒で彼からのメールを放置していても、当時同年代で流行していたmixiは、仕事の合間のトイレ休憩にチェックしていたのでした。
怒られながらも、「そこまで見てたの!」って笑ってしまいました。
このやりとりは、多い時期は1ヵ月に1度はありました。
こんなふうに彼は私よりよっぽどマメなので、喧嘩して連絡が途絶える期間はありませんでした。
何度も怒られて、やっと、私も彼と同じくらいマメにメールができるようになりました。
遠距離恋愛は続かない、とよく言われますよね。
以前他の人と遠距離恋愛していたときには、結局うまくいかず疎遠になった経験もありました。
この彼だから、遠距離恋愛も続けられたのだと思います。
今は結婚して、私が彼のところに行って一緒に暮らしています。
離れていても彼の体調がなんとなく、虫の知らせで分かる……なんて不思議なことはありません。
でも、一緒にいると、何も話さなくても雰囲気で彼の機嫌や気分が感じとれます。
彼も同じようで、私のちょっとした表情や行動から、私の体調や気持ちが分かるみたいです。
喧嘩になりそうなときは早めに対処できるし、結構便利です。
結婚して8年になるので、それなりに喧嘩もありますが、仲良くやっていて幸せです。