高校教師と生徒の恋愛,涙のしずく

和歌山県に住むミホです。

当時の私は17歳。高校二年生でした。進学校だった私の高校は二年生になると、進路を決めて授業を選びなおします。

私は文系の国公立大学進学のための科目の一つである地理を選びました。その頃の私の楽しみは、放課後に友人たちと高校の近くの河原の土手に座って日が暮れるまで他愛もない話をすることでした。
ある日のこと、私は放課後いつものように友人たちと校門の前で待ち合わせをし、河原に向かっていました。
その日は部活も早く終わり、まだ日の暮れるまでの時間もかなりあるし、今日はゆっくりおしゃべりできるなあと思っていたのですが、年頃の女子高生は忙しく、一人二人と彼氏とのデートや新しくはじめたバイト等で抜けていってしまいました。

高校3年生からは受験に向けて忙しくなるので、友人たちも自分のやりたいことをしているんだなあと思いました。私はなんだか家に帰りたくなくなって新しく配られた選択科目の地理の教科書を開いてみることにしました。地理の授業は来週からはじまります。予習もかねて見ておこうと思った地理の教科書は図なども多くて眺めているぶんには結構面白く、私は数十分ほど河原の土手に座ったまま夢中になって読んでいました。横をみると、数メートル斜め前に男性が膝をたてて座っていました。背中しか見えていませんでしたが年の頃は40歳手前といったところでしょうか。なにやら体をまるめて本を読んでいる様子でした。もうそろそろ本屋さんにでも寄り道して家に帰ろうかと考え、教科書を学生かばんに入れようと開けたそのときでした。

かばんの中で缶のペンケースの蓋が開いてしまっていたようでシャープペンシルやらボールペンたちが飛び出てきて、傾斜になっている河原の土手を転がりました。私は手に教科書を持ったまま慌てて傾斜を下って拾っていると、それに気付いたのか斜め前にいたその男性が拾うのを手伝ってくれようと近づいてきました。彼の手には私と同じ教科書が握られていました。

私は当時目のくりっとしたいわゆる美形少年の顔が好きだったのですが、なぜか彼の無精ひげと大きいメガネ、するどい目つきとぼさぼさの髪にみとれてしまいました。決して父親にも似てはいないし親せきのおじさんにはいないタイプなのに、なぜかひどく懐かしい感じがしました。それが彼、42歳地理教師山下先生との出会いでした。
どうして同じ教科書を持っているのか、なぜこんなところにいるのか、何者なのかと不思議に思いながらペンを一緒に拾っていると、先生の左手の親指の付け根にふと目がとまりました。先生の左手の親指の付け根にはしずくのような形をしたアザがあったのです。私の右手の親指の付け根にもおなじようにしずくのような形をしたアザがありました。先生はたた「はい」と私に拾ったペンを渡し、去って行き


ました。私の手に持っている教科書に先生は目は向けていましたが、なにも言いませんでした。
次の週から地理の授業がはじまりました。
教壇に現れたのはあの時,土手でペンを拾ってくれた男性でした。私はびっくりしていた表情をしていたのでしょう。

先生は私のことに気付いた様子でしたが少し目を細めただけでなにも言いませんでした。
そのまま高校生活が毎日すぎ、二学期も後半にさしかかったころになると私は受験のためにあいている教室を自習室に使いたいので職員室に行きました。

職員室には山下先生がいて、先生の管轄である社会科室をかしてくれると言いました。先生も授業のために作業をするので一緒でもいいかと尋ねられ、それから毎日私は先生と一緒の教室で放課後を過ごすようになりました。私は黙々と自習し、先生は授業の準備をしています。でも、あの河原の土手の一件はなにも言われることはありませんでした。
また月日がすぎ、いつものように先生と放課後を過ごしていると、ある日先生が窓の外を見つめながら「もうすぐクリスマスだなあ」そう言いました。わたしはそれに対し、「私、誕生日が12月23日なんです。あと一日遅く生まれていたらクリスマスなのに・・・」と答えました。
先生はうなずきながら「先生も、じつは12/26日生まれであと一日早く生まれていたらいいなって思うんだよ」と言いました。

また、「ちなみに先生は23,24日は出張でーす」とそう言ってまた作業にもどっていきました。
私はその頃になると先生に対して特別な感情を抱き始めていたのかもしれません。
その年のクリスマスは24日は金曜日、25日は土曜日でした。23日、24日は先生は出張のため会えませんでした。

25日は土曜日で、学校はお休みですが、部活のため学校は開校しています。私は夕方学校に行ってみました。そして、社会科室に行ってみると先生が居ました。先生は私が来た理由も聞かず、作業をしながら開口一番「お誕生日おめでとう」そう言いました。帰り道、先生と一緒に缶コーヒーを買って飲みながら話をしました。以前この河原での出会いを先生は覚えていました。地理の授業で使おうと地形を見に来たそうでした。別れ際、先生は私の右手をとってじっと眺めました。そして、急に顔をこわばらせて去っていってしまいました。
12月26日の月曜日、私は先生にお誕生日のお祝いを言おうといつものように社会科室に行きました。

しかし、先生は今日からずっと教室は使う予定があるからといっていれてくれませんでした。それから卒業まで私の先生とのかかわりは地理の授業を受ける時間のみとなってしまいました。
先生となんだか離れてしまって私は先生に好意を抱いていることに気付きました。
そして卒業式前日、私は思い切って社会科教室に行ってみました。先生はぼんやりとクリスマス前のときのように外をながめていました。
そして私に背中を向けたまま「卒業おめでとう」と言いました。
そして椅子に座ってうつむいたまま、両手を机の上に置いて「すごくお前を大切に思っているから大学に入っても頑張れ」そう言いました。
先生の固く握られて左手の親指の付け根のしずくのアザにポタリと水が一滴落ちました。先生の涙でした。
その時はじめて先生が私に好意を持っていると気付きました。でも私たちは年齢も離れているし、教師と生徒です。
私はどうしたらいいか分からなくなって先生を置いて教室を去りました。それが私の初恋であり、運命を感じたはじめての相手でした。

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